[ ジャケ・ドロー製作工程 ]
02.ダイアル
●02-3.タペストリー(Tapestry)

これも、Jaquet-Drozの特徴を顕著に示す装飾文字盤であり、ギョウシェ彫りの一種で、製造はすべて、La−Chaux-de-FondsのStern社にて行なわれ、1枚の文字盤が仕上がるまでには約1時間を要する。

その主な工程とは、タペストリー文様の入った原版(実際の文字盤の120倍の大きさ)からパンタグラフ方式によって文字盤のベースとなるものに転写することによって完成する。

●02-4.エナメル(Enamel)-単色エナメル


エナメルは瑞土、赤鉛、苛性カリからできており、通常は無色であるが、金属化合物と混ざると神秘的な色を帯びる。

これを着色釉として金属に焼きつける方法。

製作過程は、まずこのエナメル溶液を特別なガチョウの羽根で作られたハケで文字盤に均一に塗り、それを840℃の釜で焼き、その後チャコールで研磨して仕上げる。
この工程は4 度繰り返される。


●02-5.クロワゾネ(cloisonne)

エナメル製法の中で最も多く見かけられるのがこの製法で、クロワゾネとは、フランス語 で「仕切られた」という意味合いの言葉である。
言いかえれば、輪郭を細い18Kの平板で仕切って描いたエナメル製法のことを指す。

18Kの原板に、ピンセットを使って厚さ0.07mm、幅1mmの金線を、図柄の輪郭に沿って折り曲げていく。
その後、耐熱の膠で金線を固定、さらに840℃の釜で熱処理し接着を強固にする。

金線で仕切られた間にそれぞれの色のエナメル溶液を、ガチョウの羽軸を使って何層にも重ねて塗り込み熱処理を繰り返す。

高温で焼くことによってエナメルの徹粒子が溶け、固まっていく。
そして仕上げには、金線とエナメルの高さを揃えるために、非常にやわらかな布を使って表面を磨くことによって、エナメル独特の深みのある輝きが表れてくるのである。

また、すべての工程には54もの工程と12回の熱処理を行い、100時間以上の時間が費やされている。

●02-6.ジュネーブ・エナメル(EmailGenevoise)

クロワゾネのような金線を使わずに文字盤に直接ペインティングをしていく技法で、この技法を取り入れたモデルは非常に少ない。

油分を取り除いた原板に、細かく引いたエナメ ルの微粉と白檀オイルを練って作った白色のエナメルペーストを塗る。
これを5〜6回焼いて、その上に髪の毛一本ほどの太さの絵筆で、カラー・エナメルを点描法で塗りつけていくことによって完成する非常に希少価値の高いものである。

 



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