褐色時計の世界
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18世紀後半の金無垢クォータリピータ
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Charles LeROY作のクォータリピータ。
バージ脱進機、チェーンフュジー、ベル打ちのクォータリピータで大小2つのハンマーで内蔵されたベルを打つ。
ファイアギルドのフルプレートムーブメントにコンチネンタルコック、ピラーの形式はシリンドリカルピラー。
ケースは金無垢のやや薄いオニオンケースで透かし彫り彫刻が施されており、内蔵されたベルの音が良く響く。
ダイヤルは白エナメルにアラビア数字のインデックス。
金製のルイ16世ハンドが付く。
風防はオリジナルのブルズアイグラス。


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18世紀後半のカレンダ付きクォータリピータ
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Eardley Norton作のカレンダ付きクォータリピータ。
ファイアギルドムーブメントのフルプレートムーブメントイングリッシュコックチェーン・フュジー、シリンダ脱進機、バランスコックの蓋石には大型のローズカットダイヤモンドを使用。
ピラーの形式はシリンドリカルピラー。
比較的初期のシリンダウォッチなので「アーリーシリンダ」に分類される。
リピータ機構は大小2つのハンマーで内蔵されたベルを打つ。
ケースは銀製の3ヒンジケース、ダイヤルは白エナメルで最外周に15分単位にアラビア数字のインデックス、ついでローマ数字で時刻のインデックス、さらに内周にアラビア数字で日付のインデックスがある。
ハンドは鉄製のポーカー&ビートルハンド、日付け針は金製のスペード針が付く。


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18世紀末〜19世紀前半のアラームウォッチ
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無銘のフランス製アラームウォッチ。
真鍮製のフルプレートムーブメントにコンチネンタルコック、シリンドリカルピラー。
バージ脱進機にチェーン式フュジー。
メインスプリングと独立した香箱を持つダブルトレインでハンマー を駆動し、ケースに内蔵されたベルを打つ。
ケースは3ヒンジの銀製で裏蓋を開けると多数の穴があり、 これを開け閉めすることでベルの大きさを調整できる。
ダイヤルは白エナメルにアラビア数字にインデックス。
ハンドは鉄製のスペードハンドにアラーム用の鉄製の指針が付く。
風防はドームグラス。




18世紀後半のグランドソネリ
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Ant Mathey作のグランドソネリムーブメントにケー スを別作したもの。
真鍮製のフルプレートムーブメントにコンチネンタルコック、ターンドピラー。
バージ脱進機にチェーン式フュジー。
メインスプリングと独立した香箱と輪列を2つ持つトリプルトレインでそれぞれ正時とクォータの時打ち機構を駆動する。
時打ち機構は本来3つのハンマーでベルを打つように作られているが、ケースを別作するさい、ゴング打ちに改造され、現在は3ハンマー/3ゴングとなっている。
打ち方は例えば12時ちょうどなら高い音のゴング2本連続音を4度打ってから(クォータ)低い音のゴン グ1本を単音で12回打つ。
15・30・45分は高い音の連続音をそれぞれ1回 ・2回・3回打つだけで正時のゴングは打たない。
またペンダント部分のボタンと軽くプッシュするとソネリ機構がリリースされクォータ/アワーの順に打つが、通常のクォータリピータと異なるのは先にクォータを打つこととファーストクォータを連続音4回で表すこと、さらにリピータとことなりスプリングのチャージが必要ないことである。
ケースは真鍮金滅金であとから前のオーナが別作したものだが、裏蓋に印刷だが最後の晩餐の絵をはめ込んであり、遠くで教会の鐘を聞くようなゴングの音と合わせて厳かな雰囲気を漂わせる。
ダイヤルは白エナメルにローマ数字のインデックスで 、鍵穴が3つあり右から順に運針・正時打ち・クォー タ打ちの順である。

真鍮製のスペードハンドが付く。
写真N0.4-4は輪列の写真で、運針用のフュジー付き輪列とアワー/クォータ用それぞれの時打ち駆動用の輪列が1つづつと、アワー用のハンマーが1つ、クォータ用に2つのハンマーなどが見える。


19世紀前半のクォータリピータ
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無銘のフランス製薄型クォータリピータ。
真鍮製のフルプレートムーブメントにコンチネンタルコック、シリンドリカルピラー。
バージ脱進機にチェーン式フュジー。
2ハンマー/2ゴングのクォータリピータ。
銀製のシルバーケースに銀製のギョウシェ彫りのダイヤル、鉄製のブレゲハンドと全体にブレゲの時計に似せた雰囲気で作られている。



クォータリピータクロノグラフ
懇意にしている時計屋でグランドソネリ(写真4)を購入した際、サービス付けてくれた時計。
巻芯、ハンド、リピータ用部品(動作ボタン他内部機構数個)、ダイヤル、アワーホイール、ミニッツホイール等が欠損していたが、巻芯を他から流用して他の部品を自作して動作するようにした。
アワー/ミニッツホイールについては流用出来る部品が無かった ことと技術的な興味から時針をセクター針(レトログレード)とすることにした。
これはリピータのアワースネルと同じ原理で回転するスター・ホイールとそれに固定されたスネル(リピータは階段状だが今回は滑らかな傾斜で鏡面に仕上げた)を作り、セクター針の基部から伸びたレバーで動作する。
面白いレイアウトで作れたので文字板は作っていない。





18世紀中期のハーフ・クォータリピータ
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18世紀中期のイギリス製ハーフ・クォータリピータ。
ファイアギルドムーブメントに羽付きのイングリッシュコック、スクエアバルスターピラー、コックの袴とレギュレタカバーまで透かし彫りが施され美しい。
バージ脱進機、チェーンフュジー。
リピータ機構は2ハンマーのベル打ちだが残念ながらケースが紛失していたので、真鍮板から叩き出しで自作してみた。
主要部品は0.5mmの真鍮板から叩き出し、ヒンジ、プッシュペンダント等は真鍮丸棒とパイプから切削して、ハンダで固定し、最後に18K滅金して仕上げた。
ハンドはクリーニング屋さんの針金ハンガーから削りだし、青焼きを施したアワーリング付きのエナメルダイヤルに合わせ、ビートル&ポーカーハンドとした。

リピータ用のベルについては音質と余韻を重視してケースよりもやや厚い1.0mm厚の真鍮板をムーブメントの厚さよりもやや深く打ち出し、十分な長さの余韻を確保した。



ツールビヨンの構造模型

ツールビヨンは動きが面白く見ていて飽きないものだが、高価なものが多く、なかなか入手するのは難しい。
しかし、やはり機械好きにとっては魅力的でありどうしても1つは手元に置いて置きたいものなので、自作することにした。
とりあえず、工作を簡単にするため以下の点に留意した。

ディスプレイが目的なので文字板/針等は用意していない。
脱進機は軸がレバー式(アンクル式)より1つ少なく調整が容易なシリンダ式とした。

製作手順は以下の通り
2枚の真鍮板に置き時計用の輪列を挟んで地板とし、4番車の軸(本来はスモールセコンド用)の上にケ−ジを載せた。
脱進機はシリンダ式の懐中時計から流用し、真鍮板の切り貼りでコックやガンギ車の受けを作成。
即席で作った簡単な工作だがツールビヨンのエピサイクロイドな動作は十分に楽しめ、非常に満足している。




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オルゴール付きクォータリピータ
19世紀前半のオルゴール付き金無垢リピータ。
シリンダー脱進機、ゴーイングバレル、2ハンマー2ゴングのクォータリピータ。
ムーブメントを見るとオルゴール用の巨大なバレルが見える。
この頃の時計に内蔵されたオルゴールは現代多く見られるような一体の櫛歯式の弁では無く1音階ずつバラバラの弁をネジで地板に固定され、ピンを固定したディスクが回転して弁を弾く機構になっている。

(取材協力:マサズジャンクヤード)






17世紀末〜18世紀初頭のバージ/フュジー
Will Barwell-Bath作のイングリッシュウォッチムーブメント。

羽付のバランスコックとレギュレタカバーには大変凝った透かし彫り彫刻が施されている。
バージ脱進機、チェーンフュジー、ディスク型レギュ レター。
この時代はムーブメントが非常に分厚いものが多いがこの時計も 例に洩れず極めて分厚い。
バベルの塔のようにせり上がったフュジーとフュジー止めの透かし彫り彫刻、スリットの入ったエジプシャ ンピラーが大変美しい。

No.7の時計と同じくケースが紛失していたので、真鍮板から叩き出しで自作してみた。
主要部品は0.5mmの真鍮板から叩き出し、ヒンジは真鍮丸棒とパイプから切削し、ペンダントは置き時計の巻き上げノブを流用した。
主要部品をハンダで固定し、最後に18K滅金して仕上げた。

「文:秋本 久志 」

「撮影:HISASHI AKIMOTO」
「撮影機材:OLYMPUS CAMEDIA C820L 」


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