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19世紀前半のペアケースウォッチ

直系49mm , 高さ20mm 19世紀前半のイギリス製ペアケースウォッチ(アウターケースは紛失), バージ脱進機,フュージ機構.GRIMAZLDEの銘. ファイアギルドムーブメント,バランスコックの意匠は、当時の、イギリスものの、典型的な姿を、よくあらわしている。
鬼の彫りや透かし彫りは、この時代 にしては繊細。
風防はオリジナルのブルスアイグラス,比較的、薄い作りではある。
文字盤は手書きのローマ数字に、スペードハンドという、これも、当時 の特徴を、よくあらわしている。

■18C初めの、疑似振り子付きペアケースのヴァージ・フュジー。

ダイアル、ムーブには“William Gib Rotterdam”と刻まれている。
製造番号は“194“であり、バランスコック、トップ・アンダープレート、ダ イアルの裏面で確認できる。

初期のオランダ製のヴァージは珍しく、オランダ製でありながらイングリッシュウオッチの特徴を十分に伝えている。

写真のダイアルはシャンプレーブ・ダイアルと呼ばれている。

18Cの初めごろまで主流であった金属製のダイアルである。
数字や、線の部分にはエッチングという技法が用いられており、エッチングされた部分には黒いエナメルが埋め込まれている。

また、この時代では珍しくカレンダーが付いているのも見所の一つである。

ヴァージ時計のほとんどの針(ハンド)は、削り出しでつくられている。

写真のハンドは青焼きされた鉄製のものであるが、ほんの一部に青い輝きを見つけることができるだけで、現在は黒錆のためほぼ黒色である。

ハンドの形状は非常に珍しく、これもオランダ製の時計であるからかも知れない。

ヴァージ時計の見所に、ピラー(柱)がある。

ピラーはボトムプ レート(文字盤側の地板、写真の下側のプレート)とトッププレート(受け)の間隔を保つ柱のことで、両プレート間隔が広いヴァージ時計ではピラーにいろいろな装飾がされていることが多い。

写真のピラーはエジプシャンと呼ばれるタイプの変形で、通常のエジプシャン・ ピラーの上部が透かし彫りになっており、古い形式のものである。

ピラーには縦筋(スリット)が入っているが、幅はわずか0.1−0.3mmし かないにも関わらず、見事にピラーの表から裏へと貫通している。

また、ピラーの右に見えるフュジーカバーも見事である。

写真はリポセ細工のはいった銀製のアウターケース(直径58ミリ)である。

元々は人物の表情までも良く表れていたと思われるが、今ではすっかりすり擦り減ってしまっている。

リペアのため、ケース裏面は銀ロウで覆われている。

このタイプのバランスコックをもつ時計は疑似振り子付き時計と呼ばれている。

透かし彫りが施されているバランスコックの代わりに、半月型の窓とその窓からのぞく振り子が特徴である。

この振り子は本物の振り子ではなく、天輪のブリッジ部に施された振り子型の細工である。

この本物ではない振り子のことを疑似振り子と呼んでいる。
天符の振幅とともに疑似振り子も振幅するため、半月型の窓からはさも本物の振り子が振幅しているかのようにみえる。

見ていて飽きない仕掛けである。


「撮影:HISASHI AKIMOTO」
「撮影機材:OLYMPUS CAMEDIA C820L 」


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