機械時計の動力源<ゼンマイ>
動力の伝達部分 <輪列>
輪列からエスケープへ
<ガンギ車とアンクルのかみ合い>
時計の心臓部 <テンプ>
時計の緩急
エヤリーの定理について
トゥールビヨン脱進機について
   
   

















 

時計の緩急

今ここに、金属製のしなやかな棒のようなものがあることを想像してみてください。
この棒をハンマーなどでたたくと「ゴーン」と音がして振動を起こすはずですね。

次にもう少し短い棒があるとして、これをハンマーでたたくとどうなるでしょうか?
先ほどの長い棒よりも早い振動を起こすはずです。
「カーン」と、先ほどよりも高い音が鳴ることでしょう。

このように棒が短くなればなるほど棒の振動は上がっていくのです。

この棒の揺れの特徴が理解できれば時計の緩急の原理がわかります。




時計の調速をつかさどっているテンプの振幅の速さは、ヒゲゼンマイの長さによって決まります

ヒゲゼンマイが長いほどテンプはゆっくりと振幅し、ヒゲゼンマイが短いほどテンプは速く振幅します。
このヒゲゼンマイの長さを変えることによって時計を進めたり遅らせたりすることができるのです。

それでは、ヒゲゼンマイの長さを変えるのにはどうすればいいのでしょうか。
それは簡単です。
ヒゲゼンマイの渦巻きは、テンプの振動と共に大きくなったり小さくなったりしていますが、細い棒をその運動しているヒゲゼンマイに接近させるだけでいいのです。



細い棒をヒゲゼンマイの特定の個所に接近させれば、テンプの回転によってヒゲの渦が小さくなった時にその棒に接触します。
棒に接触すると、ヒゲゼンマイの長さは短くなったことになります。
そうすると、ヒゲが棒に接触している間(ヒゲの渦巻きが小さい間)だけテンプの振幅運動の速度は上がります。



細い棒をヒゲの渦の中心に近づければ近づけるほど、ヒゲと棒が接触した時にテンプの振幅速度が上がるのです。

このヒゲに接触する細い棒は「緩急針」(かんきゅうしん)と呼ばれています。
このようにして時計は緩急針を動かすことによって調速されるのです。




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