にわか時計ファン
お店での楽しい時間の過ごし方
プレミア時計の探し方
にわか時計ファン
日本の時計市場の特異性
   







 


不思議なもので店には必ず、「放っておいても売れる商品」と、「積極的にすすめないと売れない商品」、「どんなにすすめてもまず売れない商品」というものがあります。

売れないから良くない商品かというと、ぜんぜんそんなことはなく、扱っている方からみると品質や性能も実によい場合があるのです。

また、売れる商品が必ずしもよい商品であるとは限りません。
性能も大してよくないようなものが飛ぶように売れることがあります。
さらに地域的な嗜好もあり、ある店ではよく売れるブランドが違う店ではまったく売れないこともあります。

時計についてあまり詳しくない人でも、入学、就職、結婚などの人生の区切りの時に何かよい時計を欲しくなることがあります。
「今まで、子供の頃親に買ってもらった時計をずっとつけてきたけど、俺(わたし)もこれからはちゃんとしたよい時計が欲しい」というような感覚になるのです。

そういう人はいわば ”にわか時計ファン” なのですが、本当の時計ファンと違って手元に時計資料やカタログなどを揃えてるわけではありません。
そのために自分の好みに合った時計を探す基準がありません。

あえて基準といえるものは、「価格は20万くらいまでの一生使える良い時計」(こういう条件にする人は大変多いです)というような感じになります。

そして、この要望をたずさえて時計探しが始まります。
どのブランド、どのモデルという方向が全く決まっていないので雑誌や友人や店員に意見を求めることから始めます。

実は、このときの周りの意見が、時計を決めるのに9割以上の影響力を与えているのです。

一番ありがちなのは、「名前のよく知られているブランド」です。

名前を知っていたらなんとなく安心するのです。
性能もよいし、アフターサービスもよいような気になるのです。
○○○○○なら大丈夫、○○○○○買っておけば間違いない。
○○○つけていれば、どこに行っても恥ずかしくない。
なんといっても世界の○○○なのだから・・・。
といった理由ですみやかに有名ブランド、それも中級クラスの有名ブランドに決まります。

念願のよい時計を手に入れた彼は、手に入れた瞬間から ”にわか時計ファン” をやめて、本物の時計ファンになりはじめるか、もとの ”特に時計には興味ない人” に戻るかどちらかになります。

が、ほとんどの場合、後者です。
彼の時計探しは、一本めの ”よい時計 ” を買った時に終止符をうたれ、そしてその後には自分のつけている時計が最高だと感じ続け、他の時計に興味をもたなくなります。

彼の時計に対する興味は、自分のつけているブランド、モデル以外の域に出なくなるのです。
そして、また誰かが「よい時計を探している」話などを聞くと、自分のつけている時計のブランドをすすめ、彼が行ったと同じような行動がまた繰り返されるのです。
これが輸入時計消費者にみられる口コミ現象の典型的な例です。

こういった時計の買い方は、少数ではありません
むしろ、新品の正規販売の時計はほとんどがこういう買い方をされているのです。
時計のことをよく知っている時計ファンが時計を買う、というようなことは、全体の消費量からみると微々たるものに過ぎません。

したがって、販売側はいわゆるマニアの消費についてはあまり関心を持ちません。
販売側にとって重要なのは、マニア以外の人々、「冠婚葬祭などで、よい時計を探している人々」なのです。

「名前のよく知られているブランド」がますます強く成長していくのは、こういった圧倒的に多い消費が繰り返されることによるのです。





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