IWCの銘キャリバー8541について
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IWCの銘キャリバー8541について
   







 


IWC社の自動巻き腕時計キャリバーの中に、8541というものがあります。
これは、時計愛好家のみならず、広く時計好きには知られているキャリバーで、IWCの誇る銘品です。

今回は、この8541が、いかにユニークなキャリバーであるかを見てみましょう。
8541は、特に、自動巻きローターが、ゼンマイを巻き上げる仕組みに特徴があります。

図をご覧ください。
これは、8541の自動巻きローターの巻上げ部を図示したものです。

ローターは、その回転の中心部に楕円型のカムを備えています。
ローターが回転すると、ローターの中心部の楕円カムも一緒に回転します。

8541のローターは、かなり厚みがあり、重いものを使っています。

ローターは、ローター受け真によって支えられています。

ローター受けは、一箇所がネジによって固定されていますが、あとは、固定されていません。
また、ローター受けは、ヘビのように曲がりくねった形状をしています。
そして、そのローター受けの先端のローター受け真に、ローターがセットされるのです。

このことにより、ローターは宙に浮いたような感じになります。

もし、激しい衝撃をローターに受けたとしても、ローター受けのヘビのような首の部分がショックアブソーバーの役目をし、ローター受け真が衝撃によってダメージを受けないようになっています。

さて、巻上げ機構ですが、先述のとおり、ローターの中心部分には楕円型カムがついているので、ローターの回転と共に楕円型カムも回転します。

すると、ローターの楕円型カムを挟み込むように接している二股巻き上げパーツが左右に往復運動を起こします。 ローターの回転と共に、二股が左右に振れるのです。

二股巻き上げパーツは、実にユニークな動きをします。 左右に往復運動することにより、横に飛び出た二本の爪が尺取虫のように前後運動を起こし、ゼンマイ巻き上げホイールを回転させ始めるのです。

つまり、ローターの回転という円運動は、二股巻き上げパーツによって、前後の往復運動に変化させられるのです。


さて、ゼンマイ巻き上げホイールが回転しますと、そこに連動している丸穴車も回転し、最終的にゼンマイを巻き上げる角穴車を回転させます。

このようにして、8541は巻上げ動作を行います。 これは、実にユニーク、かつ、実用的な機構です。 そして、特に耐衝撃性に優れたものです。

ひとつひとつのパーツは大きく、シンプルで、しっかりと動作します。 壊れようがないという感じです。

巻上げ機構の注油は、ローター受け真、二股巻き上げパーツの二股ホイール部分、二股巻上げパーツの内部のバネ部などに行います。



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