ここに一枚の写真があります。
これは、バセロン・コンスタンチンのムーブメントの写真です。
ローターの両側ににバネがついています。
自動巻き初期のころに見られた機構です。
テンプはちらねじ式です。
50年以上前のムーブメントです。
これを見てみなさんはどんなことをお感じになりますか?
このムーブ、あちこちに傷がついているし、地板のところに錆びが出ています。
相当使い込まれた様子です。
おそらく、持ち主の人は本当に愛用して肌身離さずつけていたのでしょうね。
それから、これほどになるまで使うということから、持ち主は時計愛好家ではなかったと想像します。
時計愛好家なら、錆びさせる前にオーバーホールに出すでしょうから。
50年前のバセロンといえば相当な高級品です。
これを買ったということは、「いいもの」が欲しかったのでしょう。
そういったことを考えながら、この人の人間像を想像してみました。
このバセロンの持ち主は、
よいものを求める。
しかし、モノマニアではないので、道具に捕らわれていない。
そして、自分の選択したものには変わらない愛情を注ぎ続ける。
という性格なのです!(あくまで想像ですが・・・)
これこそ「真の愛用」というものでしょう。
こういう事を考えながら時計を眺めるのってとても楽しいですね。
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