機械時計の時間をきっちり合わせるには少々こつがあります。
そのことについてお話しましょう。
機械時計には、
・リューズを引くことにより秒針が停止するもの
(秒針停止機能)
・リューズを引いても秒針が停止しないもの
があります。
時報にぴったり秒針を合わせるのには、秒針停止機能がついている方が便利だといわれています。
現行商品だけを見てみると、不思議だと思われるでしょうが、100万円を超すような高額品を出しているメーカーほど、秒針停止機能がついていません。
なぜでしょうか?
超高額品を作っているメーカーは、自分たちのムーブメントにプライドを持っています。
彼らは「秒針停止機能なんて余計なものはいらない」というポリシーをもっているのです。
秒針停止の動作は、リューズが引かれることによって、アームのような部品がテンプの振幅運動を強制的に止めるために、テンプ方向に飛び出してくるのです。
つまり、テンプは急にアームのような部品に接触されて止められるのです。
テンプに及ぼすこの動作をさして、超高級メーカーは「余計なこと」と見なしているのです。
パテック・フィリップをご覧になってみてください。
メカニカルムーブはどれも秒針停止機能を備えていません。
これは決して秒針停止機能がよくないと言っているのではありません。
ただ、「秒針停止機能がついている時計の方が良い」ということはないと思います。
それでは、秒針停止機能がついていない時計はどのようにして時報にぴったり合わせればよいのでしょうか。
ご説明します。
(こつさえ覚えれば難なく時報に合わせられますよ)
@まず、リューズを引いてください。
A次にリューズをゆっくりと、分針が逆に動く方向に回して下さい。
B秒針がピクピクと震えながら少し逆回転し、停止するはずです。
(しない場合は「ツツカナ」という部品がゆるんでいるので調整に出しましょう)
C時報を聞きながら今秒針を止めている秒数になるまで待ちます。
(リューズを少しだけ回している指に力をいれておきます)
D時報が秒針を止めている秒数を知らせた瞬間にリューズをつまんでいる指の力を抜きます。
E秒針が動きはじめ、時報と秒針がシンクロします。
F分針を順送りにして、現在の分に合わせます。
秒針停止機能付き時計をお持ちの方も、そうでない方の時計をお持ちの方も、早速時間を合わせましょう。
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